macOS Sierra の TeX環境を texlive2016 に更新したので手順をまとめます.
この記事は以下のエントリを macOS Sierra と Tex Live 2016 に合わせて更新・加筆したものです.
2018年5月9日追記: Tex Live 2018版の記事をhttp://d.hatena.ne.jp/pyopyopyo/20180509 に用意しました.
BasicTeX
パッケージはMacTeXのサブセット版である BasicTeX を使いました.
MacTeXだと全パッケージがインストールされ 2.4GB ものディスク容量が消費されますが,サブセット版である BasicTeX は良くよく使われるパッケージのみをインストールするため必要な容量は 280MB程度です
また不足パッケージは後から簡単にインストールできるので実用上の問題もありません
ダウンロード&インストール
https://tug.org/mactex/morepackages.html から mactex-basic.pkg をダウンロード,インストールします
なおMacTeXは
- 2016 通常版 /usr/local/texlive/2016
- 2016 BasicTeX /usr/local/texlive/2016basic
- 2015 BasicTeX /usr/local/texlive/2015basic
という感じでディレクトリを分けてファイルを配置し,/usr/texbin というシンボリックリンクでデフォルトのバイナリを切り替える,という仕組みになっています.
たとえば mactex-basic.pkg をインストールすると,/usr/texbin のリンク先は /usr/local/texlive/2016basic/bin/x86_64-darwin
になります.
初期設定
basictex をインストールしたら,必要なパッケージを追加インストールします
方法は二つ
あります.
ここでは,説明が簡単,という理由でCUIを使います.
ターミナルを起動し,まずは tlmgr 自身を更新します
$ sudo tlmgr update --self
次に導入済みパッケージの更新
$ sudo tlmgr update --all
続いて,必要なパッケージの追加インストール.
日本語環境用パッケージをインストール
$ sudo tlmgr install ptex platex jsclasses japanese-otf jfontmaps cjk-gs-integrate adobemapping
個人的に良く使うパッケージをインストール
$ sudo tlmgr install type1cm subfigure dvipdfmx multirow
日本語フォントの設定
フォント周りで重要なパッケージは
- jfontmaps
- cjk-gs-integrate
- adobemapping
です
あらかじめインストールしておきます
$ sudo tlmgr install jfontmaps cjk-gs-integrate adobemapping
adobemapping を入れておかないとdvipdfmxでエラーが出ます
フォントの登録
$ cd /usr/local/texlive/2016basic/texmf-dist/scripts/cjk-gs-integrate $ sudo ./cjk-gs-integrate.pl --link-texmf --force $ sudo mktexlsr
これで,/usr/local/texlive/texmf-local/fonts以下に,フォントファイルへのシンボリックリンクが自動作成されます
登録済みフォントの一覧を確認します
$ kanji-config-updmap status
自動で extractbb が実行されるようにする
以下の内容で /usr/local/texlive/texmf-local/web2c/texmf.cnf を用意します
shell_escape_commands = \ bibtex,bibtex8,bibtexu,upbibtex,biber,\ kpsewhich,\ makeindex,mendex,texindy,xindy,\ mpost,upmpost,\ repstopdf,epspdf,extractbb
古い TeX環境の削除
uninstallは簡単です
MacTex 2015を消したい場合は /usr/local/texlive/2015basic をディレクトリ毎削除するだけです
$ sudo rm -rf /usr/local/texlive/2015basic
トラブルシューティング
- pdfに画像が貼れない/gsコマンドが無い
- ghostscript (gsコマンド) がインストールされていないと dvipdfmx 経由で作成する pdf に画像が貼れない場合があります.ghostscript をインストールするには https://tug.org/mactex/morepackages.html の mactex-additions.pkg から ghostscriptを選択してインストールのが楽そうです
- LaTeXIt を使いたい
- gsコマンドが必要なので,あらかじめ上記の手順でghostscriptをインストールして http://www.chachatelier.fr/latexit/ からdmgをダウンロード,インストールする.
- TeX Live Utility.app を使いたい
- https://code.google.com/p/mactlmgr/
- dvipdfmx がCould not find encoding file “H”. というエラーを出す
- adobemapping パッケージをインストールすると直ります
まとめ
インストール後の /usr/local/texlive/2016basicのサイズは 570MB でした.(2014basicの頃より200MBほど小さくなったようです)
全部インストールすると 2.4GB程度だそうで,かなりディスク容量を節約できたようです.