mac OSにtexlive2023 (BasicTeX)をインストールする方法

macTeX環境を texlive2023 (BasicTeX) に更新したので手順をまとめます.

この記事は以下のエントリを macOSTex Live 2023 に合わせて更新・加筆したものです.

BasicTeX

パッケージはMacTeXのサブセット版である BasicTeX を使いました.

MacTeXは全パッケージをインストールすると 5.2GB以上のディスク容量を消費します *1

一方サブセット版である BasicTeX は最低限のパッケージしかインストールしません.必要な容量は 245MB程度です*2

不足パッケージは後から簡単にインストールできるので実用上の問題もありません

ダウンロード&インストール

https://tug.org/mactex/morepackages.html から basictex.pkg をダウンロードします

サイズはたったの90MB *3ですのでダウンロードはすぐに終わるはずです.

これをインストールします

なおMacTeXは

  • 2023 通常版 /usr/local/texlive/2023
  • 2023 BasicTeX /usr/local/texlive/2023basic
  • 20212BasicTeX /usr/local/texlive/2022basic

という感じでディレクトリを分けてファイルを配置するので,異なるバージョンのTeX環境を混在できます.


デフォルトのTeX環境の選択は,"TeX Distribution"というアプリで行います.
(メニューの”システム環境設定"にアイコンがあります.Spotlight検索で TeX Distribution でも起動できます)
このアプリは

  • /Library/TeX/texbin
  • /Library/TeX/Root
  • /Library/TeX/Local
  • /Library/TeX/Documentation

というシンボリックリンクを管理していて,これらリンクでデフォルトのtex環境を選択する仕組みになっています.

たとえば basictex.pkg をインストールすると,/Library/TeX/texbin のリンク先は

$ readlink -f  /Library/TeX/texbin
/usr/local/texlive/2023basic/bin/universal-darwin

という感じで /usr/local/texlive/2023basic/bin/universal-darwin になります

初期設定

basictexをインストールしたら,必要なパッケージを追加インストールします

方法は二つ

  • Tex Live ユーティリティーというGUIを使う方法
  • CUIでtlmgrコマンドを使う方法

あります.

ここでは,説明が簡単,という理由でCUIを使います.

まずターミナルを起動します.

念の為,パスが正しく設定されているか確認します

$ which tlmgr
/Library/Tex/texbin/tlmgr

tlmgr コマンドにパスが通っています

念の為 tlmgr コマンドの実体も確認しましょう

$ redline -f `which tlmgr`
/usr/local/texlive/2023basic/texmf-dist/scripts/texlive/tlmgr.pl

ちゃんと 2023basicの tlmgr を使っています


以下コマンドでパッケージを更新します

$ sudo tlmgr update --self  --all

オプションの意味はそれぞれ次のようになります.

  • --self tlmgr 自身を更新する
  • --all インストール済みパッケージを更新する


最後に,個人的に良く使うパッケージを追加インストールします.

$ sudo tlmgr install  type1cm subfigure dvipdfmx multirow xstring logreq biblatex latexmk  biber pxjahyper

日本語環境の設定

日本語の設定を行います.

用紙サイズの設定

デフォルトをA4サイズにします

$ sudo tlmgr paper a4
日本語用パッケージのインストール

メタパッケージ collection-langjapanese をインストールすると,日本語関連のパッケージが一括でインストールできます.しかし collection-langjapaneseをインストールすると日本語フォントが大量にインストールされ,フォントだけで700MBほどディスクを消費します

macOSヒラギノフォントを利用する場合,この700MBは無駄になります.

そこで collection-langjapanese はインストールせずに,必要なパッケージだけをインストールする方針でセットアップを行います.

日本語を扱う際,最低限必要なパッケージは

でしょう.今回はとりあえずこれだけ入れて,後のパッケージは必要になった時に追加インストールすることにします

$ sudo tlmgr  install ptex platex jsclasses

次に,日本語フォントのセットアップを行います

TLContirb リポジトリの追加登録

ヒラギノフォントなどのmacOS 同梱のフォントを使うための設定です

ライセンスの関係でmacOS 同梱のフォントを使うためのパッケージ達は別リポジトリ( TLContrib )へ分離されています.

そこでまずはこのリポジトリを登録します.

$ sudo tlmgr repository add http://contrib.texlive.info/current tlcontrib
$ sudo  tlmgr pinning add tlcontrib '*'

日本語フォント周りで重要なパッケージは

  • cjk-gs-integrate-macos (cjk-gs-integrateのmacOS版,フォントの設定を行うスクリプトです)
  • japanese-otf-nonfree japanese-otf-uptex-nonfree ptex-fontmaps-macos
  • cjk-gs-integrate adobemapping
  • haranoaji haranoaji-extra (フォント)

です

まとめてインストールします

$ sudo tlmgr  install cjk-gs-integrate-macos  japanese-otf-nonfree japanese-otf-uptex-nonfree ptex-fontmaps-macos  cjk-gs-integrate adobemapping haranoaji haranoaji-extra
フォントの登録

cjk-gs-integrate-macos というスクリプト(cjk-gs-integrate のmacOS版)がインストールされているはずです.

これを使って macOS のフォントを登録します

$ sudo cjk-gs-integrate --link-texmf --cleanup
$ sudo cjk-gs-integrate-macos --link-texmf --force
$ sudo mktexlsr
登録済みフォントの確認

フォントの設定用に kanji-config-updmap-sys というスクリプトがインストールされます.

このスクリプトで現在の設定を確認します.

$ sudo kanji-config-updmap-sys status

以下の出力が得られます

CURRENT family for ja: haranoaji (variant: -04)
Standby family : ms
Standby family : yu-win10
フォントの変更

pdfに埋め込むフォントを指定します

texlive 2020 で導入された「原ノ味フォント」を指定する場合は次のようにします.

$ sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 haranoaji

その他こまごまとした設定

自動で extractbb が実行されるようにする

以下の内容で /usr/local/texlive/texmf-local/web2c/texmf.cf を用意します

shell_escape_commands = \
bibtex,bibtex8,bibtexu,upbibtex,biber,\
kpsewhich,\
makeindex,mendex,texindy,xindy,\
mpost,upmpost,\
repstopdf,epspdf,extractbb

古い TeX環境の削除

uninstallは簡単です

MacTex 2019 を消したい場合は /usr/local/texlive/2019basic をディレクトリ毎削除するだけです

$ sudo rm -rf /usr/local/texlive/2019basic

トラブルシューティング

pdfに画像が貼れない/gsコマンドが無い
ghostscript (gsコマンド) がインストールされていないと dvipdfmx 経由で作成する pdf に画像が貼れない場合があります.ghostscript をインストールするには https://tug.org/mactex/morepackages.html の mactex-additions.pkg から ghostscriptを選択してインストールするのが楽そうです.
LaTeX It を使いたい
gsコマンドが必要なので,あらかじめ上記の手順でghostscriptをインストールして http://www.chachatelier.fr/latexit/ からdmgをダウンロード,インストールする.
TeX Live Utility.app を使いたい
https://code.google.com/p/mactlmgr/
dvipdfmx がCould not find encoding file “H”. というエラーを出す
adobemapping パッケージをインストールすると直ります
日本語フォントが使えなくなった
Tex live 2018 でフォント周り(パッケージ構成やコマンド名)に少し変更が入っているようです.上記手順を参考にフォント周りの設定を見直してください

まとめ

インストール後の /usr/local/texlive/2023basicのサイズは 612MBでした.

参考までに

  • /usr/local/texlive/2022basicのサイズは 613MB (universal 対応のためバイナリのサイズが増えたとおもわます)
  • /usr/local/texlive/2021basicのサイズは 537MB
  • /usr/local/texlive/2020basicのサイズは 585MB
  • /usr/local/texlive/2019basicのサイズは 586MB
  • /usr/local/texlive/2018basicのサイズは 546MB

Tex live 2022は全部インストールすると 5.2GB程度なので,かなりディスク容量を節約できたようです.

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*1:Texlive 2022の場合

*2:TexLive 2023の場合

*3:basictex.plg texlive2023の場合