Macbook Air (OS X Marvericks) の TeX環境を texlive2014 に更新したので手順をまとめます.
2018年5月9日追記: Tex Live 2018版の記事をhttp://d.hatena.ne.jp/pyopyopyo/20180509 に用意しました.
2016年11月6日追記:Tex Live 2016版の記事をhttp://d.hatena.ne.jp/pyopyopyo/20161106 に用意しました.
2015年7月10日追記:texlive2015版の記事をhttp://d.hatena.ne.jp/pyopyopyo/20150710に用意しました.
BasicTeX
パッケージはMacTeXのサブセット版である BasicTeX を使いました.
MacTeXだと全パッケージがインストールされ 2.4GB ものディスク容量が消費されますが,サブセット版である BasicTeX は良くよく使われるパッケージのみをインストールするため必要な容量は 280MB程度です
また不足パッケージは後から簡単にインストールできるので実用上の問題もありません
ダウンロード&インストール
https://tug.org/mactex/morepackages.html から mactex-basic.pkg をダウンロード,インストールします
なおMacTeXは
- 2013 通常版 /usr/local/texlive/2013
- 2013 BasicTeX /usr/local/texlive/2013basic
- 2014 BasicTeX /usr/local/texlive/2014basic
という感じでディレクトリを分けてファイルを配置し,/usr/texbin というシンボリックリンクでデフォルトのバイナリを切り替える,という仕組みになっています.
たとえば mactex-basic.pkg をインストールすると
$ greadlink -f /usr/texbin /usr/local/texlive/2014basic/bin/x86_64-darwin
となります.(greadlinkはGNU版のreadlinkコマンドです)
初期設定
tlmgr コマンドを使って,CUIで操作します.
まずは tlmgr 自身の更新.
$ sudo tlmgr update --self
次に導入済みパッケージの更新
$ sudo tlmgr update --all
続いて,必要なパッケージの追加インストール.
日本語環境用にptex等をインストール
$ sudo tlmgr install ptex jsclasses japanese-otf
個人的に良く使うパッケージをインストール
$ sudo tlmgr install type1cm subfigure
日本語フォントの設定
まず kanji-config-updmap コマンドをインストール
$ sudo tlmgr install jfontmaps
利用可能なフォントを確認する.
$ kanji-config-updmap-sys status
CURRENT family : hiragino-pron
Standby family : hiragino
Standby family : ipa
Standby family : ipaex
この状態で hiragino が出力されていない場合は,以下の手順でフォントを登録する
フォントの登録
$ kpsewhich -var-value TEXMFLOCAL
によるとtexliveのローカルなフォント・ファイルは /usr/local/texlive/2014basic/texmf-local に配置すれば良いことが判る.ただフォントは将来的に texlive 2015などでも利用するものなので
- フォントは /usr/local/texlive/texmf-local に置く
- /usr/local/texlive/2014basic/texmf-local はシンボリックリンクにする
方針で設定する.
初めに
$ sudo mv /usr/local/texlive/2014basic/texmf-local /usr/local/texlive/texmf-local $ sudo ln -s ../../texmf-local /usr/local/texlive/2014basic/texmf-local
次にフォントを/usr/local/texlive/texmf-local 以下に置く.具体的な手順は以下のとおり.
$ sudo mkdir -p /usr/local/texlive/texmf-local/fonts/opentype/hiragino/ $ cd /usr/local/texlive/texmf-local/fonts/opentype/hiragino/ $ sudo ln -fs "/Library/Fonts/ヒラギノ明朝 Pro W3.otf" ./HiraMinPro-W3.otf $ sudo ln -fs "/Library/Fonts/ヒラギノ明朝 Pro W6.otf" ./HiraMinPro-W6.otf $ sudo ln -fs "/Library/Fonts/ヒラギノ丸ゴ Pro W4.otf" ./HiraMaruPro-W4.otf $ sudo ln -fs "/Library/Fonts/ヒラギノ角ゴ Pro W3.otf" ./HiraKakuPro-W3.otf $ sudo ln -fs "/Library/Fonts/ヒラギノ角ゴ Pro W6.otf" ./HiraKakuPro-W6.otf $ sudo ln -fs "/Library/Fonts/ヒラギノ角ゴ Std W8.otf" ./HiraKakuStd-W8.otf $ sudo ln -fs "/System/Library/Fonts/ヒラギノ明朝 ProN W3.otf" ./HiraMinProN-W3.otf $ sudo ln -fs "/System/Library/Fonts/ヒラギノ明朝 ProN W6.otf" ./HiraMinProN-W6.otf $ sudo ln -fs "/Library/Fonts/ヒラギノ丸ゴ ProN W4.otf" ./HiraMaruProN-W4.otf $ sudo ln -fs "/System/Library/Fonts/ヒラギノ角ゴ ProN W3.otf" ./HiraKakuProN-W3.otf $ sudo ln -fs "/System/Library/Fonts/ヒラギノ角ゴ ProN W6.otf" ./HiraKakuProN-W6.otf $ sudo ln -fs "/Library/Fonts/ヒラギノ角ゴ StdN W8.otf" ./HiraKakuStdN-W8.otf
以下のコマンドで hiragino が登場したら登録は成功
$ kanji-config-updmap-sys status
フォントの変更
フォントが登録できたら,pdfに埋め込むフォントを hiragino に変更
$ kanji-config-updmap-sys hiragino
自動で extractbb が実行されるようにする
/usr/local/texlive/texmf-local/web2c/texmf.cnf を編集する
shell_escape_commands = \ bibtex,bibtex8,bibtexu,upbibtex,biber,\ kpsewhich,\ makeindex,mendex,texindy,xindy,\ mpost,upmpost,\ repstopdf,epspdf,extractbb
古い TeX環境の削除
uninstallは簡単.MacTex 2013を消したい場合は /usr/local/texlive/2013を消すだけ
$ sudo rm -rf /usr/local/texlive/2013
トラブルシューティング
- pdfに画像が貼れない/gsコマンドが無い
- ghostscript (gsコマンド) がインストールされていないと dvipdfmx 経由で作成する pdf に画像が貼れない場合があります.ghostscript をインストールするには https://tug.org/mactex/morepackages.html の mactex-additions.pkg から ghostscriptを選択してインストールのが楽そうです
- LaTeXIt を使いたい
- gsコマンドが必要なので,あらかじめ上記の手順でghostscriptをインストールして http://www.chachatelier.fr/latexit/ からdmgをダウンロード,インストールする.
- TeX Live Utility.app を使いたい
- https://code.google.com/p/mactlmgr/
まとめ
インストール後の /usr/local/texlive/2014basicのサイズは 565MB でした.
全部インストールすると 2.4GB程度だそうで,かなりディスク容量を節約できたようです.